ともだちの怒り。
2007年 12月 07日
ベランダでかさこそと音がしました。
そーっと外をのぞくと、
あ、ともだちが来てる!
2〜3日姿を見せなかったともだちは、
あまり食べていなかったのか、
おばさんが盛っておいたクッキーを見るや一直線。
みや子には、見向きもしませんでした。
「ねえ、ともだち!
どうしてたのよ。
昨日はさあ、お天気よくて
昼寝が気持ちよかったと思わない?
ねえ、ねえ、ってばあー」
わたしが話しかけても、一向にともだちは顔を上げません。
思わず、ガラスをにゃんにゃんにゃんと叩いて
大きな音でともだちの気を引こうとしました。
驚いて、動きを止めたともだちが
みや子を下から舐めあげるようにゆっくりと顔を上げ、
「あんた、うぜーんだよ」
低い声には怒りが充満していました。
「あたしはね、あんたみたいに
ぬくぬく温室のお嬢さん育ちじゃないからさ。
ありつけるもんはありがたくいただくのさ。
あんたはいいねえ、温かいところで、
ぴーちくぱーちく下らない話するだけで、
お腹いっぱいになんだからさ。
そのうち、替わってもらおうかねえ」
舐めるように平らげると、ともだちは
いひひ、とお婆さんのような不気味な笑い声を残して
ふたたび消えたのでございます。
わたしは、恐ろしいような哀しいような
どうにもやり切れない思いで、
ともだちが行ってしまった方向をただ
眺めるしかありませんでした。
# by yummy-aoyama | 2007-12-07 12:44 | Comments(2)